政治家の民主的リーダーシップによる死刑執行停止の実現をめざして

2010年12月06日

政治家の民主的リーダーシップによる死刑執行停止の実現をめざして 

1 死刑を廃止・停止してきたヨーロッパやアジアの実際の例を見ますと、死刑を存置するか廃止するかは世論調査の結果によるものではなく、民主的な政治家のリーダーシップによるものです。
 日弁連としても、死刑執行停止実現へ向けた政治家への働きかけを重ねており、10月20日には「死刑執行停止戦略に関する国会議員との意見交換会」を開催しました。
 当日、国会議員は「死刑廃止を推進する議員連盟」から亀井静香会長、村越祐民事務局長、松野信夫議員、仙谷由人議員秘書、「袴田巌死刑囚救援議員連盟」から牧野聖修会長、「人権問題を市民とともに考える議員連盟」から山花郁夫事務局長、「アムネスティ議員連盟」から今野東事務局長、その他に奥田建衆議院法務委員会委員長秘書、辻恵衆議院法務委員会筆頭理事秘書が出席しました。日弁連側では道上明副会長、海渡雄一事務総長ほか私も含めて死刑執行停止実現委員会の委員が出席し、率直な意見交換を行いました。
 国会議員側からは、法務省・検察・裁判所ともに,「変えることは悪いこと。変えないことが善」という意識がとても強い、政治家が政務三役として三人だけ入っていったところで動かし難いものがある。死刑執行停止要請は政務三役に対してだけではなく,関係する局長に対しても働きかけていく必要がある。法務省は課長以上の役職が62ありそのうち検事が47、人事は検察庁が握っている状態で、法務省のそういう体質にも問題がある等の意見が出され、日弁連側からも、検察の在り方という大きな問題の中でも議論されるべき問題であるとの意見が出されました。
 また、オブザーバーとして、EU代表部をはじめとするヨーロッパ各国の大使館関係者が多数出席し、日本は円熟した民主主義国家であるにもかかわらず,死刑が存置されている。人権の多くの問題について我々と同じ考え方をしている日本だからこそ,問題提起をしていかなければならないと確信している。日本全体でディベートを起こすべきであり,大きなディベートを進める好機である等の意見が出されました。
 意見交換をしていて、日本における死刑執行停止の実現に向けた現実的で具体的な戦略を練っていかなければならないことを痛感し、これからも意見交換の機会を継続して持つ必要があると思いました。
2 また11月4日には、「死刑廃止を推進する議員連盟」の総会が開催され日弁連からもオブザーバーとして参加しました。役員人事として、会長が亀井静香(国民新党)、副会長が仙石由人(民主)、加藤紘一(自民)、斉藤鉄夫(公明)、福島みずほ(社民)が承認されました。今後の活動方針としては、
 ①死刑制度の廃止へ向けた全体戦略の深化(中長期的なロードマップの作成、体制の強  化、与野党政調への働きかけ、関連議連・市民団体との連携)
 ②死刑制度の廃止へ向けた世論形成の取り組み(情報発進力の強化、世論調査の手法の  分析、マスコミ等との連携)
 ③死刑制度の廃止へ向けた立法提案の検討(定期的な検討会の立上げ、閣法・議員立法  両面の準備、立法化に向けた有識者との連携)
が承認されました。
 さすがに政治家が考えるだけあって、日弁連の死刑執行停止戦略を考えるうえで、参考になる点も多々あると思いました。これを更に具体化しどう現実化していくのかが問われていると思います。
3 さらに11月11日には、民主党法務部門会議の死刑制度検討ワーキングチームの会議が開かれ、免田栄氏のお話を伺うというものでしたが、日弁連からオブザーバーとして参加しました。その際、今野東座長から、ワーキングチームが死刑刑場の視察を柳田法務大臣に申し入れたところ、断られたとの報告がなされました。法務省は、千葉法務大臣の時にマスコミに不十分ながらも刑場の公開をしておきながら、今度は政権与党の法務部門会議からの要請であっても公開を拒んだわけです。
 これは法務省が刑場の公開、情報の公開を頑なに拒んでいることの表れですが、法務省が情報の公開を恐れている(死刑制度についての情報がどんどん公開され死刑制度の存廃についての大規模な議論が起これば、日本の死刑制度が変わってしまうと恐れている)気がします。だとすれば情報の公開を更に積極的に求めていくことが戦略の一つになると思います。
4 日弁連としては、先ほどから繰り返し述べているように死刑執行停止に向けた具体的で現実的な戦略を練る必要があるのですが、法務検察の在り方そのものも問題としていかない限り、日本で死刑の執行停止を実現することは困難であると思います。この点が非常に重要な課題であると思います。
 


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