本当に日本には死刑は必要なの?

9月2日開催 シンポジウム「私たちは『犯罪』とどう向き合うべきかーノルウェーの選択」のご案内

りす
  9月2日開催 シンポジウム「私たちは『犯罪』とどう向き合うべきかーノルウェーの選択」のご案内
 
 東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会、日本弁護士連合会共催で、シンポジウム「私たちは『犯罪』とどう向き合うべきかーノルウェーの選択」を、2011年9月2日(金曜日)午後6時(開場は午後5時30分で関連するビデオをながす予定です)から午後8時まで、霞ヶ関にある弁護士会館1003号室で開催します。
 
 裁判員制度において、市民が刑事裁判に参加し、事実認定と量刑のいずれについても関与することとなり、死刑を含む刑罰について市民の関心は高まっていますが、犯罪とは何か、刑罰とは何かについて、市民の間に必ずしも十分な議論がなされてはいません。今日わが国では、刑罰の目的があたかも応報のみにあるかのように受け止められ、犯罪の背後にある様々な問題から目をそむけ、罪を犯した個人にすべての責任を負わせるべく刑罰を科すことで、「解決」しようとする考え方が広がっています。例えば、最高裁判所が作成した裁判員向けのパンフレット「裁判員制度ナビゲーション」(2010年9月改訂版)」にも、刑罰の目的として「犯罪の被害を受けた人が、直接犯人に報復したのでは、かえって社会の秩序が乱れてしまいます。そこで、国が、このような犯罪を犯した者に対して刑罰を科すことにより、これらの重要な利益を守っています。」と記載されています。
 
 しかし、刑罰の目的は応報だけではありません。国際人権(自由権)規約は、行刑の制
度は、受刑者の矯正及び社会復帰を基本的な目的とする処遇を含むものでなければならないとしており(第10条第3項)、罪を犯した人たちが抱える問題点を克服し、やがては社会の一員として復帰することが目指されています。
 
 この犯罪と刑罰をテーマに、日弁連では、今年10月6日に高松市において開催される第54回人権擁護大会シンポジウム第一分科会「私たちは『犯罪』とどう向き合うべきか?―裁判員裁判を経験して死刑のない社会を構想する」を開催する予定です。
 このシンポジウムには、世界的に著名なノルウェーオスロ大学の学者であり、ノルウェーにおいて修復的司法を制度化する際の理論的な支柱となっているニルス・クリスティ教授をお招きすることとなっています(ノルウェーでは死刑は150年前に廃止され、罪を犯した者に対して社会復帰を前提に開放的な処遇を行っています)。クリスティ教授については、2009年8月にNHKで放映された「未来への提言 犯罪学者ニルス・クリスティ~囚人にやさしい国からの報告」で森達也さんがインタビューしたことから、ご存知の方もたくさんいらっしゃると思います。
 日弁連では今年5月22日から同月28日までノルウェーに調査団を派遣し、クリスティ教授との面談、受刑者・元受刑者と学者等の専門家から構成され刑務所の運営や改革について発言しているノルウェー刑務所改革協会(クロム)の訪問、セム刑務所(厳戒刑務所)・トランメン刑務所(同)・ベルグ刑務所(軽警備刑務所)の訪問、若年犯罪者処遇の調査、法律扶助制度の調査、被害者の権利についての調査等を実施しました。
 
 日弁連の10月6日のシンポジウムに先立って、東京でノルウェー調査の報告会を行い、市民の皆さんとともに日本における刑罰制度の問題点(もちろん死刑の問題点も含みます)について議論しようというのが、9月2日に開催するプレシンポジウムの狙いです。
 内容は、ノルウェー調査団からの報告を加毛修弁護士(元日弁連副会長、元第一東京弁護士会会長、第一東京弁護士会所属)、小林修弁護士(日弁連死刑執行停止実現委員会委員長。愛知県弁護士会所属)、田鎖麻衣子弁護士(同委員会副委員長。第二東京弁護士会所属)が行い、さらに調査に同行した研究者として寺中誠氏(元アムネスティ日本事務局長、東京経済大学講師)からもお話しを伺う予定です。
 
 先日のノルウェーでのテロについても議論は及ぶことになるでしょうし、日本における死刑廃止への道についても活発な議論がなされると思います。
 
 是非、多くの市民の方にご参加いただきたいと思います。
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