民主党死刑制度検討WTが日弁連に死刑についての見解をヒアリング

2011年12月18日

 民主党法務部門・死刑制度検討WT第2回会議が、2011年12月8日に開催され、死刑制度に関する日弁連の考え方についてヒアリングがありました。
 現在の死刑制度WT(座長今野東議員、副座長辻恵議員、事務局長京野公子議員)は、前回のWTが5回開催された後、新たに結成され、今回が2回目の会議とのことでした。
 日弁連では三木副会長、海渡事務総長、田鎖死刑執行停止実現委員会副委員長、小川原同委員会事務局長が出席し、三木副会長から、下記の「死刑についての日本弁護士連合会の見解」について説明しました。これは今年10月に開催された日弁連人権大会におけるシンポジウムと宣言の内容を簡潔にまとめたものです。

 

死刑についての日本弁護士連合会の見解                 2011年12月8日

 

1 死刑にはついての基本的立場
・日弁連は、死刑のない社会が望ましいことを見据え、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかけます。
・人権を尊重する民主主義社会にとって、犯罪被害者の支援と死刑のない社会への取組はいずれも実現しなければならない重要な課題です。

 

2 死刑のない社会が望ましい理由
①死刑はかけがえのない生命(生命に対する権利)を奪う非人道的な刑罰です。
②死刑は罪を犯したと認定された人が更生し社会復帰する可能性を完全に奪います。
③証拠開示は極めて不十分であり、えん罪事件があとを絶ちません。裁判は常に誤判の危険を孕んでおり、死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつきません。誤判で執行された疑いの指摘されている事件としては、福岡事件、飯塚事件などがあります。

 

3 死刑存置の主張には理由がありません
①凶悪犯罪は増えていません
 犯罪白書によれば、殺人事件の件数は、2004年(平成16年)から4年間連続して減少し、2008年(平成20年)は少し増えたものの、2009年、2010年と2年連続で戦後最少となっています。
②死刑の犯罪抑止力は実証されていません
 死刑が他の刑罰に比べて特に犯罪抑止力があることは何ら実証されておらず、多くの研究が、死刑の犯罪抑止効果に疑問を示しています。

 

4 犯行時20歳未満の少年について
 成育環境の影響が非常に強い少年(20歳未満)の犯罪について、すべての責任を少年に負わせ死刑にすることは、刑事司法の在り方として公正とはいえません。 

 

5 死刑廃止はゆるぎない国際社会の潮流です
 2010年(平成22年)現在の死刑廃止国(10年以上死刑を執行していない事実上の廃止国を含む。)は139か国、死刑存置国は58か国であって、世界の3分の2が死刑を廃止ないしは停止しています。死刑存置国の中でも実際に死刑を執行している国は、更に少なく2009年(平成21年)が19か国、2010年が23か国にすぎません。

 

6 諸外国では、世論調査の結果にかかわらず、政治的なリーダーシップにより死刑を廃止しています
 イギリス  1969年廃止  死刑支持率81%
 フランス  1981年廃止  死刑支持率62%
 フィリピン 2006年廃止  死刑支持率80%
 韓国    事実上の廃止国  死刑支持率66%

 

7 法務大臣に死刑執行の義務はありません 
 刑事訴訟法第475条(死刑の執行は法務大臣の命令による)は、死刑の執行について法務大臣の高度な政治的判断を許容するものであり、まさに政治的なリーダーシップによって死刑廃止についての国民的議論への道をひらくものです。

 

8 死刑に代わる最高刑の検討が必要です
・無期刑受刑者を含めた仮釈放のあり方を見直し無期刑の事実上の終身刑化をなくし、かつ死刑の存廃について検討することなしに、新たに終身刑を創設することには反対です(2008年11月18日付け「『量刑制度を考える超党派の会の刑法等の一部を改正する法律案(終身刑導入関係)』に対する意見書」)。
・現行法の10年を経過すれば仮釈放が可能である無期刑とは別に仮釈放制限期間をより長くする無期刑や、仮釈放のない終身刑(恩赦制度の抜本的な改善を含む)についても議論がなされるべきです。

 

9 死刑は日本の文化ではありません
 日本も平安時代には約340年間にわたり死刑の執行を停止していました。これは日本人の温和な国民性が仏教と結びついたものとの説があります。死刑の存置が日本の文化によるものとは言えません。

 

10 提言
 死刑についての情報を積極的に国民に開示し、死刑制度の廃止について国会に死刑制度調査会をつくり国民的な議論をすべきです。またその議論の間は、死刑の執行を停止すべきです。


 

 今後、日弁連としては、政党、国会議員、法務省、マスコミ、市民各層へ、死刑廃止について全社会的議論を積極的に呼びかける活動を行うこととなります。そのための委員会として、これまでの死刑執行停止実現委員会を拡大組織変更し、死刑廃止検討委員会を正式に発足させました。多くの方と意見交換をしたいと思います。これからも宜しくお願いいたします。


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