本日の死刑執行に対し、日弁連と二弁は抗議声明を出しました

2012年03月29日

 本日、小川法務大臣は、松田康敏氏(44歳)福岡拘置所(03. 1.24宮崎地裁、04. 5.21福岡高裁宮崎支部、07. 2. 6最高裁。宮崎連続強盗殺人事件99. 9.29)、上部康明氏(48歳)広島拘置所(02. 9.20山口地裁下関支部、05. 6.28広島高裁、08. 7.11最高裁。下関駅通り魔事件99. 9.29)、古沢友幸氏(46歳)東京拘置所(04. 3.30横浜地裁、05. 5.24東京高裁、07.11.15最高裁。元妻の家族3人殺人事件02. 7.31)の3名に対し、死刑を執行しました。
 これに対し、日本弁護士連合会と第二東京弁護士会は抗議声明を出しましたので、ご紹介します。

○日弁連会長声明

死刑執行の再開に強く抗議し、死刑執行を停止し死刑廃止について全社会的議論を開始することを求める会長声明

本日、東京、広島、福岡の各拘置所において、それぞれ1名に対する死刑の執行が行われた。極めて遺憾な事態であり、死刑執行の再開について強く抗議する。

当連合会は、本年2月24日、野田内閣総理大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始することを求める要請書」を提出し、さらに同年2月27日、小川法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じることを求める要請書」を提出して、国に対し、直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止することを改めて求めたところである。

死刑の廃止は国際的な趨勢であり、日本政府は、国連関係機関からも繰り返し、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう勧告を受けている。また、本年2月には、欧州議会が小川法務大臣を名指しして死刑の執行を行わないよう求める決議を採択していた。そのような中で、全社会的な議論が尽くされるどころかその方針も立てられず、また議論の前提となる情報も提供されないまま、死刑の執行が再開されたことになる。

近時、法務省内部で行われてきた「死刑の在り方についての勉強会」が終了し、その報告書が公表されたが、これでは死刑廃止についての全社会的議論がなされたとは到底言えず、今回の執行はむしろ全社会的議論を封じるものと言わざるを得ない。

今こそ、死刑の執行を停止した上で、政府が中心となって、死刑に関する情報を広く国民に公開し、国会に死刑問題調査会を設置し、法務省に有識者会議を設置する等の方策をとることによって広く国民的な議論を行うべきである。

よって、当連合会は、死刑執行の再開に対し強く抗議するとともに、死刑執行を停止し、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを求めるものである。
 
2012年(平成24年)3月29日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
 
○第二東京弁護士会会長声明

死刑執行に関する会長声明
2012年(平成24年)3月29日
第二東京弁護士会 会長 澤井 英久
11(声)第13号

 本日、東京、広島、福岡の拘置所において、3名に対する死刑の執行が行われた。誠に遺憾と言わざるを得ず、強く抗議するものである。
 わが国では、刑罰制度として死刑制度を存置しているが、死刑はかけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であることに加え、罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき、その可能性を完全に奪うという問題点を内包している。また裁判は常に誤判の危険を孕んでおり、死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつかないという根本的な問題もある。
 国際的にみた場合、2012年(平成24年)現在の死刑廃止国(10年以上死刑を執行していない事実上の廃止国を含む。)は141か国、死刑存置国は58か国であって、世界の3分の2が死刑を廃止ないしは停止している。死刑廃止が国際的にも大きな潮流であることは明らかである。
 このようななか、日本弁護士連合会は、死刑のない社会が望ましいことを見据えて、昨年10月7日、第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択した。当会もこれまで死刑の執行に際し、繰り返し執行停止を要請してきたが、今回の死刑の執行は、全社会的な議論が尽くされるどころかその方針も立てられず、また議論の前提となる情報も提供されないまま、死刑の執行が再開されたものである。今こそ、死刑の執行を停止した上で、政府が死刑に関する情報を広く国民に公開し、広く国民的な議論を行うべきである。
 当会は、死刑執行を停止し、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを重ねて求めるものである。

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