日弁連 死刑執行停止を求める要請書を提出

2018年03月29日

各位

日弁連は、本日、上川法務大臣に対し、下記の「死刑執行停止を求める要請書」を提出しました。
要請書(7)にある、 「当連合会は,2007年11月6日付けで,東京拘置所のある収容者に係る人権救済申立事件について『長期拘禁による拘禁反応としての重篤な精神障害に罹患していると思われるので,施設外の精神科医による診察のうえ,』『適切な医療措置を速やかに実施すること。』を東京拘置所長に勧告した。」とは、オウム真理教の教祖についてです。

 もちろん 日弁連は、「全ての死刑確定者に対する死刑執行の停止」を求めているのですが、オウム関係の死刑確定者を含め 「特に再審請求中の死刑確定者に対する死刑の執行及び心神喪失の疑いのある死刑確定者に対する死刑の執行を停止」を要請しました。

小川原

日弁連総第73号
2018年(平成30年)3月29日
法務大臣 上 川 陽 子 殿
日本弁護士連合会
会長 中 本 和 洋
死刑執行停止を求める要請書
1 要請の趣旨
全ての死刑確定者に対する死刑執行の停止,特に再審請求中の死刑確定者に対す
る死刑の執行及び心神喪失の疑いのある死刑確定者に対する死刑の執行を停止す
るよう要請する。
2 要請の理由
(1) 当連合会は,日本政府に対し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催
される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであること,死刑を廃止す
るに際して,死刑が科されてきたような凶悪犯罪に対する代替刑を検討すべきで
あることを求めている(第59回人権擁護大会「死刑制度の廃止を含む刑罰制度
全体の改革を求める宣言」(2016年10月7日),「日本において国連犯罪防
止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を求める要請書」
(2017年11月29日))。
(2) 2016年12月現在,法律上の死刑廃止国(111か国)と10年以上死刑
執行をしていない事実上の死刑廃止国(30か国)を合わせると,世界の141
か国では死刑がなく,死刑存置国は57か国にすぎない。
(3) OECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)のうち,死刑を存置してい
るのは,日本・韓国・米国の3か国だけであり,韓国は10年以上死刑執行をし
ていない事実上の死刑廃止国であり,米国は2017年10月時点で19州が死
刑を廃止し,4州が死刑執行モラトリアム(停止)を宣言している。したがって,
死刑を国家として統一して執行しているのは,OECD加盟国のうちでは日本だ
けという状況にある。
(4) 日本は,国連自由権規約委員会(1993年,1998年,2008年,20
14年),拷問禁止委員会(2007年,2013年)や人権理事会(2008年,
2012年)から死刑執行を停止し,死刑廃止を前向きに検討するべきであると
の勧告を受け続けているにもかかわらず,死刑の執行を繰り返している。
(5) 日欧間での経済連携協定(EPA)と戦略的パートナーシップ協定(SPA)
の交渉が行われているが,EUは死刑制度の廃止,死刑執行停止を求めており,
日本の死刑制度は協定締結の障害となる可能性がある。
また,日本が死刑を存置し執行を続けているため,米国と韓国以外の国との間
で犯罪人引渡条約が締結できないという現実的な支障が生じている。
(6) 日本では,1980年代に4件の死刑事件(免田事件,財田川事件,松山事件,
島田事件)について再審無罪が確定している。2014年に再審開始決定がなさ
れた袴田事件は,誤判・えん罪の危険性が具体的・現実的であることを改めて認
識させるものであった。同事件について東京高等裁判所の決定が出されれば,こ
れを機に日本においても再審法制と死刑制度の見直しの議論が高まることが予
想される。
(7) 死刑確定者に関するものとして,当連合会は,2007年11月6日付けで,
東京拘置所のある収容者に係る人権救済申立事件について「長期拘禁による拘禁
反応としての重篤な精神障害に罹患していると思われるので,施設外の精神科医
による診察のうえ,」「適切な医療措置を速やかに実施すること。」を東京拘置所
長に勧告した。同勧告で述べたとおり,死刑確定者のの健康については,
法務当局から独立した審査の仕組みが実現しておらず,死刑確定者の中には心神
喪失の疑いが残る者も存在すると思われる。
(8) 2020年には,オリンピック・パラリンピック及び国連犯罪防止刑事司法会
議が日本において開催される。多数の国家,国民が日本を注目する時期であり,
このような時期に死刑を執行することにより日本に対する国際評価に影響する
ことも考慮する必要がある。
よって,以上のとおり要請する。




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