本当に日本には死刑は必要なの?

4月25日の日弁連主催のシンポジウムの案内など

りす
1 日弁連は、これまで死刑廃止運動をすすめるにあたり、政治家や市民、宗教界に様々なかたちで働きかけてきました。この間、「日本の死刑制度の今後を考える議員の会」や「死刑をなくそう市民会議」がうまれ、全日本仏教会・社会人権審議会の答申「死刑廃止について宗教者はいのちの尊厳と人権的見地からどのように捉えるか」が出されました。
 今後は、これらの動きとどのように連携していくかが重要な課題なのですが、刑法や刑事政策の研究者にも死刑存廃論について「再考」する議論が起こりつつあり、現在、判例時報において、「死刑制度論」についての連載が掲載されています
・死刑制度論のいま 基礎理論と情勢の多角的再考(1)
 巻頭言 大谷實 同志社大学名誉教授 判例時報2426
・死刑制度論のいま 基礎理論と情勢の多角的再考(2)  
 死刑制度の存廃をめぐって 議論の質を高めるために
 井田良 中央大学大学院教授 判例時報2428

2 大谷教授は、消極的死刑存置論を唱えていますが、その意見は法務省の見解そのもの(法務省の見解の理論的支柱?)のようにも見えます。また、井田教授は、死刑廃止論に与するとのことですが、議論の質を高めることに主眼があるようです。全体で10回位の連載になりそうです。日弁連としても、死刑廃止の運動をすすめるにあたり、学会(刑法学会や刑事政策関係の学会)にどう働きかけていくかが、今後の課題の一つとなります。
 
3 また今年は2020年で、国連の犯罪防止刑事司法会議(コングレス)の年なので(4月に京都で開催されます)、日弁連としては、様々な企画をたてています。4月23日には、コングレスのサイドイベントとして、「死刑廃止に向けて 国際社会における死刑廃止へ向けた取組と東アジア・オセアニア地域における現状、そしてその課題」(仮)が開催されることとなりました。これは一般の方は参加できないのですが、日弁連から、日本の死刑の現状や問題点を報告することとなっています。また、これを踏まえて、一般の方も参加できるシンポジウムを、日弁連の主催で、4月25日の午後に、京都大学のホールで開催します。国連関係者のメッセージのほか、与野党の国会議員や全日本仏教会の幹部も参加する予定です。詳しい内容は、いずれご報告しますが、是非、多くの皆さんにご参加いただいきたいと思います。
 
弁護士 小川原優之
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