死刑の存廃問題  中村治郎弁護士

2010年03月25日

死刑の存廃問題                 2010(平成22)年3月25日

                             中 村 治 郎

 

目     次

  はじめに
1 )死刑存置論
2 )死刑をめぐる内外の状況
3 )わが国の死刑判決及び死刑執行の状況
4 )わが国の死刑制度に対する国内的評価
5 )わが国の死刑制度に対する国際的評価
6 )近時の諸外国における死刑制度の現状
7 )わが国の死刑制度に対する弁護士会の対応
8 )今後の取組み
  おわりに

 

 はじめに
 弁護士ないし弁護士会は,「生命権」及び「個人の尊厳」を保障するため,死刑制度の存廃問題について早急に検討を深め,国民に対して,的確な判断材料を提供していくとともに,政府及び国会に対して,一定の期間,死刑の執行を停止し,その間,国会内に死刑制度調査会を設置して死刑制度のあり方を全面的に見直すことを内容とする死刑執行停止法の制定を,また,法務大臣に対して,①死刑制度の運用状況に関する情報の公開,②死刑制度の存廃問題について議論の深化を図るための施策,③死刑の執行を差し控えることなどを,それぞれ強く求めていくべきである。

1 )死刑存廃論
 死刑制度の是非をめぐっては,
①応報刑主義の理論的帰結として,人を殺した者がその生命を奪われるのは当然であること,
②刑事政策上の見地から,死刑には凶悪犯罪に対する抑止効果があり,これに代替しうる刑罰はないこと,
③凶悪犯罪の被害者遺族の感情を納得させるためにも死刑は必要であること,
④死刑の存置を国民一般が望んでおり,各種世論調査の結果がこれを示していることなどを理由とする「存置論」と,
①死刑は残虐で非人道的な刑罰であり,死刑を存置することは犯罪者に対して国家の道徳的優位を主張し得ないこと,
②誤判があった場合,死刑は回復不可能な結果をもたらすこと,
③死刑廃止はすでに国際的潮流であることなどを理由とする「廃止論」とが,
各人の国家観,刑罰観,生命観,人生観といった基本的な思考の相違がそのまま反映されることから激しく対立している。

2 )死刑をめぐる内外の状況
 わが国では,1983(昭和58)年から1989(平成元)年にかけて, 4 つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し,死刑判決にも誤判がありうることが明らかになった。
また,国際的には,国連において,世界人権宣言第3 条(生命権条項)の完全保障のために死刑廃止を目指し,死刑のより制限的な適用のため,いわゆる「死刑廃止条約」が1989(平成元)年12月15日の国連総会で採択され,1991(平成3 )年7 月11日に発効し,2005(平成17)年9 月現在55ヵ国が批准し, 8 ヵ国が署名し,後日批准を約束している。アムネスティ・インターナショナルの調べによると,1990(平成2)年当時,死刑存置国が96ヵ国に対し,廃止国は80ヵ国であったが,2009(平成21)年11月25日現在,死刑存置国が58ヵ国に対し,廃止国はヨーロッパを中心に139ヵ国(法律であらゆる犯罪〔通常及び戦時〕について・94ヵ国,法律で通常の犯罪について・10ヵ国,過去10年以上執行していない事実上の廃止・35ヵ国)と,いまや世界の3分の2を越える国が,法律上または事実上死刑を廃止していて,毎年死刑廃止国が増えている状況のもとで,死刑廃止が,世界の潮流となっている。

3 )わが国の死刑判決及び死刑執行の状況
 まず,死刑判決数については,1991(平成3)年から1997(平成9)年の7年間と,2001(平成13)年から2007(平成19)年までの各7年間の死刑判決言渡し数(死刑判決を維持したものを含む)を比較すると,地方裁判所では31件が95件に(約3.1倍),高等裁判所では22件が96件に(約4.4倍),最高裁判所では26件が63件に(約2.4倍),それぞれ激増している(司法統計年報)。
 この背景には,従来では死刑にならなかったと思われる事案において死刑が言い渡されたものが多く見られるようになったことがある。1983(昭和58)年の永山最高裁判決以降,殺害被害者1人の事案の場合には,①同種無期刑前科の仮釈放中,②身代金目的誘拐,③保険金目的の事案において抑制的に言い渡されてきたが,近年は,この枠組みを超えて死刑判決が言い渡されている。また,殺害被害者2人の事案の場合でも,1985(昭和60)年から2003(平成15)年までに死刑を求刑された73件のうち約半分の37件において無期懲役刑が言い渡されていたところ,2006(平成18)年の光市事件最高裁判所差戻判決は,死刑を例外的な刑罰とはせず、犯罪の客観的側面が悪質な場合には原則として死刑であり,特に酌量すべき事情がある場合に限って死刑が回避されるとの考えを示し,近年は殺害被害者2人の事案ではほぼ死刑が言い渡されている。このように,現在,死刑判決数は激増し,従来は死刑が言い渡されなかったと思われる事案にまで死刑が拡大して適用されている。 
 しかし,こうした死刑判決数の激増に対応するような犯罪状況の激変はなく,死刑の拡大について十分な議論も,判例変更等の法的手続もないまま,なし崩し的に死刑が拡大適用されていると言わざるを得ない。
 つぎに,死刑執行数については,先述の内外の状況のもとで,1989(平成元)年以降,3年4ヵ月にわたって死刑執行は事実上停止されていたが,1993(平成5)年3月26日,後藤田正晴法相により死刑の執行が再開され,それ以降,毎年原則として複数の死刑確定囚が執行されるようになり,その数は合計82名に達している1)。
そして,1998(平成10)年から2006(平成18)年までは年間1~6名で推移していたが,2007(平成19)年は9名,2008(平成20)年は11月現在で15名と急増している。
 なお,死刑確定者の年末収容人員も,1993(平成5)年から2003(平成15)年までは51~56名と50名台で推移していたが,2004(平成16)年が66名,2005(平成17)年が77名,2006(平成18)年が94名,2007(平成19)年が107名,2008(平成20)年と急増している。ところで,2009(平成21)年7月28日現在,わが国には101名の未執行の死刑確定者がいる。
 その間,杉浦正健法相は,2006(平成18)年9月26日に退任するまでの約10ヵ月間の在任中,執行再開前の左藤恵法相同様,主に宗教上の理由で死刑執行命令書への署名を拒否した。続く長勢甚遠法相は,法にのっとって厳正にとの理由で在任中の約8 ヵ月間に10名の死刑執行を命じた。その後就任した鳩山邦夫法相は,「法務大臣が判子を押すかどうかが議論になるのがいいとは思わない」とし,「法務大臣が絡まなくても,自動的に客観的に進むような方法を考えたらどうか」と問題提起し,法務省内幹部で死刑執行の状況や執行の手順を定めている刑事訴訟法の趣旨などを研究する勉強会を開始し,在任中の約1年間に13名の死刑執行を命じた。続いて就任した保岡興治法相は,首相が退任を表明するという「政治的空白期」に「法治国家の秩序を守る責任者として粛々と職務を遂行する」と述べ,政治的情勢とは無関係に死刑を執行していく姿勢を示し,3名の死刑執行を命じた。続いて就任した森英介法相は,「裁判所の判断を尊重して,法の定めるところに従って,粛々と実施するということは,やはり社会秩序の維持の観点からいっても,いろいろな観点からして,これは妥当である」と述べ,9名の死刑執行を命じた。
2009(平成21)年9月16日,自公連立政権から民主・社民・国民新党連立政権に政権が交代し,「死刑廃止を推進する議員連盟」のメンバーであり,アムネスティ議員連盟の事務局長でもあった民主党の千葉景子氏が法相に就任し,その記者会見で、千葉法相は,死刑の執行命令書にサインするかどうかを問われ、「人の命ということなので、慎重に取り扱っていきたい。法務大臣という職責を踏まえながら慎重に考えていきたい」と、「慎重」という言葉を重ねて使った。その後,死刑制度の今後のあり方にも言及し、「これだけ死刑の存置・廃止について議論があり、終身刑の導入についての議論もある。裁判員制度の導入で多くの皆さんが深い関心を抱いていると思うので、ぜひ広い国民的な議論を踏まえて、道を見いだしていきたい」と述べた。
 なお,死刑が執行されるたびに,日弁連や関弁連の他,25もの各単位弁護士会(東京・第1東京・第二東京・横浜・埼玉・千葉県・静岡県・大阪・京都・兵庫県・滋賀・和歌山・愛知県・岐阜・福井・岡山・島根県・福岡県・佐賀・熊本県・鹿児島・宮崎県・仙台・山形県・札幌など)が法務大臣に対し,死刑制度の存廃の国民的議論が尽くされるまでは死刑の執行を差し控えるなど慎重な対応を求める会長(理事長)談話ないし声明を発表している。

4 )わが国の死刑制度に対する国内的評価
 国内では,死刑制度を合憲としたリーディングケースは,最大判昭和23・3・12(刑集2巻3号191頁)である。この判例は,「生命は尊貴である。一人の生命は、全地球よりも重い」としつつも,「憲法第13条においては,すべて国民は個人として尊重され,生命に対する国民の権利については,立法その他国政の上で最大の尊重を必要とする旨規定している。しかし,同時に同条においては,公共の福祉という基本的原則に反する場合には,生命に対する国民の権利といえども立法上制限乃至剥奪されることを当然予想している」,また「憲法第31条によれば,国民個人の生命の尊貴といえども,法律の定める適理の手続によって,これを奪う刑罰を科せられることが,明らかに定められている。すなわち,憲法は現代多数の文化国家におけると同様に,刑罰として死刑の存置を想定し,これを是認したものと解すべきである。言葉を変えれば,死刑の威嚇力によって一般予防をなし,死刑の執行によって特殊な社会悪の根源を断ち,これをもって社会を防衛せんとしたものであり,また個体に対する人道観の上に全体に対する人道観を優位せしめ,結局社会公共の福祉のために死刑制度の存続の必要性を承認したものと解せられる」とした上で,憲法第36条に関しては「刑罰としての死刑そのものが,一般に直ちに同条にいわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられない。ただ,死刑といえども、他の刑罰の場合におけると同様に,その執行の方法等がその時代と環境とにおいて人道上の見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には,勿論これを残虐な刑罰といわねばならぬから,将来若し死刑について火あぶり,はりつけ,さ  らし首,釜ゆでの刑のごとき残虐な執行方法を定める法律が制定されたとする  ならば,その法律こそは,まさに憲法第36条に該当するものというべきであ  る」と判示して、死刑制度の合憲性を認めている。
 ところで,この判例には,島・藤田・岩松・河村(又)の4裁判官の次のような補充意見が付されている。すなわち,法廷意見が死刑の残虐性判断の「時代と環境」による変遷を認めていることをとらえて「憲法第31条の反面解釈から,憲法は死刑を科しうることを認めていることが伺われるが,然し憲法はその制定当時における国民感情を反映して,このような規定を設けたにとどまり,死刑を永久に是認したものとは考えられない。ある刑罰が残虐であるかどうかの判断は,国民感情によって定まる問題である。而して国民感情は,時代とともに変遷することを免れないのであるから,ある時代に残虐な刑罰でないとされたものが,後の時代に反対に判断されることも在り得ることである。したがって,国家の文化が高度に発達して正義と秩序を基調とする平和的社会が実現し,公共の福祉のために,死刑の威嚇による犯罪の防止を必要と感じない時代に達したならば,死刑もまた残虐な刑罰として国民感情によって否定されるに違いない。かかる場合には,憲法第31条の解釈もおのずから制限されて,死刑は残虐な刑罰として憲法に違反するものとして,排除されることもあろう」と述べている。
 その後の判例は,死刑を違憲とする主張に対してこの判例を引用して合憲とするのが通例になっている。
 その間,1993(平成5)年9月21日,最高裁第3小法廷判決において,大野正男判事が補足意見で「死刑の廃止に向かいつつある国際的動向と,その存続を支持する我が国民の意識とが,このまま大きな隔たりを持ちつづけることは好ましいことではない」,「死刑が残虐な刑罰にあたると評価される余地は著しく増大した」と述べ,死刑執行停止法や重無期刑の導入という立法的施策を提案した。
また,同年12月22日,279名の刑事法学者が「死刑廃止を求める刑事法学者のアピール」を発表した。
 さらに,1994(平成6 )年4 月6 日,衆議院議員64名,参議院議員39名,合わせて103名の国会議員が「死刑廃止を推進する議員連盟」を設立し,同年6 月
14日,朝日新聞社が全衆議院議員を対象に実施した面接調査では,現行死刑制度について何らかの形で見直しを求める意見が224人(47.2%)を占め,「現状のま
ま」との意見は191人(40.2%)であった2)。

5 )わが国の死刑制度に対する国際的評価
 国外では,1993(平成5 )年11月5 日及び1998(平成10)年11月6 日に,国際人権(自由権)規約委員会が,日本政府に対して,「死刑を法定刑とする犯罪を
減少させるなど死刑廃止に向けた措置を講ずること」,「死刑確定者の処遇が規約に反するとしてその改善」を求める勧告をした。そして,10年後の2008(平成20)年10月30日,同委員会が,市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「規約」という。)の実施状況に関する第5回日本政府報告書審査の結果である総括所見を発表した。その中で,日本政府に対して,「規約第6条,第7条及び第10条に関連してパラグラフ16(死刑執行)で,①政府は世論に拘わらず死刑廃止を前向きに検討し,必要に応じて国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきである。当面の間,死刑は規約第6条第2項に従い,最も深刻な犯罪に限定されるべきである。②死刑確定者の処遇及び高齢者・精神障害者への死刑執行に対し,より人道的なアプローチをとるよう考慮すべきである。③死刑執行に備える機会がないことにより蒙る精神的苦痛を軽減するため,死刑確定者およびその家族が,予定されている死刑執行の日時を適切な余裕をもって告知されることを確実にすべきである。④恩赦,減刑および執行の一時延期は,死刑確定者にとって真に利用可能なものとされるべきである。規約第6条及び第14条に関連してパラグラフ17(死刑制度)で,①死刑事件においては,再審査を義務的とするシステム(必要的上訴制度)を導入し,再審請求や恩赦の出願による執行停止効を確実にすべきである。②死刑確定者と再審に関する弁護士とのすべての面会の厳格な秘密性を確保すべきである。規約第7条及び第10条に関連してパラグラフ21(独居拘禁)で,死刑確定者を単独室拘禁とする規則を緩和し,単独室拘禁は限定された期間の例外的措置にとどまることを確実にすべきである。」との勧告をした。
 また,1997(平成9 )年以降毎年,国連人権委員会(2006(平成18)年国連人権理事会に改組)は,死刑存置国に対し,死刑適用の制限,死刑に直面する者に対する権利保障の遵守,死刑を完全に廃止する見通しのもとでの死刑の執行の一時停止などを呼び掛ける決議を可決している。
 さらに,わが国は,1999(平成2)年に拷問禁止条約に加入しているところ,2007(平成19)年5 月18日,これに基づいて行われた国連拷問禁止委員会は,日本政府報告書に対する最終見解・勧告において,死刑確定者の拘禁状態はもとより,その法的保障措置の不十分さについて,弁護人との秘密交通に関して課せられた制限をはじめとして深刻な懸念を示した上で,死刑の執行を速やかに停止すること,死刑を減刑するための措置を考慮すべきこと,恩赦を含む手続的改革を行うべきこと,全ての死刑事件において上訴が必要的とされるべきこと,死刑の実施が遅延した場合には減刑をなし得ることを確実に法律で規定すべきこと,全ての死刑確定者が条約に規定された保護を与えられるようにすべきことなどを勧告した。
また,同年12月10日,同月7日に3人の死刑を執行した際に,法務省が氏名や犯罪事実を初めて公表したことについて,国連のアーバー人権高等弁務官は,ジュネーブで声明を発表し「これまで秘密裏に執行されてきた死刑の情報が公開されたことは注目に値する」としながら,しかし「本人や家族への事前の通知なしに死刑を執行することは,死刑の厳格な適用を定めた国際人権規約に反する」との懸念を示し,さらに今回70歳台の死刑囚が含まれていたことに触れ,高齢者に対する死刑執行にも疑問を示した。そのうえでアーバー高等弁務官は,世界的に死刑の廃止や執行停止の動きが広がっているとして,日本政府に対し,死刑制度を見直すよう強く促した。
 また,同年12月18日,国連総会は,すべての死刑存置国に対して死刑執行の停止を求める決議案を賛成多数で初めて採択した。この決議について,国連加盟国192カ国のうち,欧州連合(EU)諸国のほか,南米,アフリカ,アジア各地域の計87カ国が共同提案国になった。そして,賛成104,反対54,棄権29で採択された。死刑制度を続けている日本,米国,中国などは反対した。この決議の内容は,死刑存置国に対し,即時の死刑廃止を求めるのではなく,次のような現実的な改善を求めている。すなわち,(1)死刑に直面する者に対する権利保障を規定した国際基準を尊重すること,(2)死刑の適用,及び,上記国際基準の遵守に関する情報を国連事務総長に提供すること,(3)死刑の使用を徐々に制限し,死刑の適用が可能な犯罪の数を削減すること,(4)死刑廃止を視野に入れ,死刑執行に関するモラトリアムを確立すること,である。
 前年に引き続き,2008(平成20)年11月20日,モラトリアム等を求める国連総会決議が,賛成105,反対48,棄権31で採択された。
2008(平成20)年5月の国連人権理事会の第2回普遍的定期的審査においても、わが国における死刑執行の継続に対する懸念が多数の国から表明され、政府に対し死刑執行の停止が勧告された。
 2001(平成13)年6月26日,欧州評議会は,アメリカと日本に対して,死刑執行の一時停止を行い,早急に死刑制度を廃止するように促す旨の決議を採択し,
2003(平成15)年1月1日までに明らかな進展がない場合,アメリカと日本のオブザーバー資格を維持することについて異議を唱えることとした。上記決議の実効性を確保するため,2002(平成14)年5月,欧州評議会議員会議の法務人権委員会から議員団が来日し,同委員会と死刑廃止を推進する議員連盟との共催による「司法人権セミナー 欧州評議会オブザーバー国における司法と人権:死刑廃止」が開催された。このセミナーの結果を受けて,2002(平成14)年6月13日には,欧州議会(EU)において,「日本・韓国・台湾における死刑廃止に関する決議」が採択され,これらの国が早急に死刑を廃止するか,もしくは死刑の執行停止を実現することを要請した。
 2008(平成20)年10月28日,死刑全廃に向け,その第一歩として世界規模で死刑執行の一時停止を呼び掛けている欧州連合(EU)の議長国フランスは,同日に行われた日本での死刑確定者2人に対する死刑の執行について,「深く憂慮している」との声明を発表し,日本に死刑執行を一時停止し、死刑の廃止を検討するよう求めた。

6 )近時の諸外国における死刑制度の現状
 アメリカでは,50州のうち15州が死刑を廃止しているものの連邦及び35州において死刑が存置している。これは,ニュージャージー州が,2007(平成19)年12月13日,州議会が死刑廃止法案を可決し,米連邦最高裁が死刑を合憲と認めた76年以降で初めて死刑廃止を決定する州となった。それ以降は死刑の代わりに仮釈放なしの終身刑を適用する。これは,民主党議員らが廃止論議をリードし,州の特別委員会が「死刑は終身刑より経費がかかり,殺人の抑止効果もない」との報告書を出していたことによる。 続いて,2009(平成21)年3月13日,米南西部ニューメキシコ州議会は,死刑を廃止する法案を賛成多数で可決した。代わりに仮釈放の可能性のない終身刑を制定する。ニューメキシコ州のリチャードソン知事は同月18日、州議会が可決した死刑廃止法案に署名した。 そのため,ニュージャージー州に次ぎ議会協議を経て死刑を廃止した全米2番目の州となった。
 米国では1976(昭和51)年に連邦最高裁が死刑を合憲と判断して以来,死刑を復活させる州が相次いだが,2007(平成19)年末にニュージャージー州が議会での法案成立を受け死刑を廃止した後、死刑廃止に向け議論に入る州が相次ぎ,ニューメキシコがこれに続き死刑を廃止し,メリーランド,カンサス,コロラド,モンタナなどの州議会が死刑を廃止すべきかの議論をしている。
 米国で死刑を規定していない州は,アラスカ,ハワイ両州のほかは北東部の州に集中しており,ニューメキシコ州が廃止した結果,死刑廃止州が南部に広がることになる。
 ところで,1997(平成9)年2月3日,アメリカ法曹協会(ABA)は,死刑に関して存置,廃止のいずれの立場をとるものではないことを確認しつつ,同協会の諸政策および諸手続を履行するまでは,死刑の執行停止を勧告する旨の理事会決議をした。その後,アメリカでも死刑制度の存廃をめぐる議論が高まり,2001(平成13)年には,連邦議会(上・下院とも)に死刑執行停止法案が上程され,審議された。
イリノイ州では,2003(平成15)年1 月10日,退任直前のライアン州知事が「州の司法システムに問題がある」として未確定囚11人を含む同州の死刑囚167人全員を減刑した。
 サンフランシスコ連邦高等裁判所は同年9月2日,「死刑判決は裁判官ではなく陪審によって決定されなければならない」とした前年の連邦最高裁判所の判断に基づき,裁判官によって決定された約100件の死刑判決を無効とし,終身刑に変更する判断をした。
 アメリカでは,多くの州で死刑は薬物注射で執行されているが,連邦最高裁判所は2007(平成19)年9月,その方法が憲法が禁じる「残虐で異常な刑罰」に当たるかどうか審理に入り,それ以降,全米では死刑執行は停止されていたが,2008年(平成20年)4月,合憲との結論が出て死刑の執行が再開された。
アジア地域でも,韓国では,1998(平成10)年の金大中大統領就任以後,死刑は執行されておらず,10年以上事実上のモラトリアム(執行停止)が実施されているうえ,死刑廃止法案が3回上程された。1度目は,1999(平成11)年,91人の議員が賛同したが審議に入れず,2度目は,2001(平成13)年,無期懲役は最低服役期間を15年とした内容を盛り込んだ法案で155人の議員の賛同を得て上程されたがこれも審議に入ることができなかった。しかし,2004(平成16)年の3度目になって,死刑廃止に加えて仮釈放や減刑のない終身刑の導入が盛り込まれ,これにより全議員299人の過半数を超える与野党175名の賛同を得て審議入りが実現した(総選挙により廃案)。
 また,台湾では,2001(平成13)年5月,法務大臣が2004(平成16)年までに死刑を廃止する計画を発表し,死刑廃止の方向性を打ち出している。
さらに,フィリピンでは,1987(昭和62)年の近代以降アジアで初めて死刑を全面的に廃止した国であったが,1993(平成5)年末に46の犯罪について死刑を復活させ,1999(平成11)年には執行も再開していたところ,2000(平成12)年エストラダ大統領が執行停止を宣言し,アロヨ現大統領も任期中これを事実上継続していたが,2006(平成18)年4 月15日,アロヨ大統領はすべての死刑判決を終身刑に減刑し, 同年6月6日,フィリピンの両院は,死刑廃止法案を可決して, 同年6月24日,アロヨ大統領は同法案に署名したことにより,再び死刑を廃止した。
 なお,フランスでは1981(昭和56)年死刑廃止が法制化されていたが,2007(平成19)年2月19日,フランス上下両院は合同会議を開き,賛成828票対反対26票とほとんど全員一致で,死刑廃止を憲法の条項に新たに付け加えた。

7 )わが国の死刑制度に対する弁護士会の対応
 このように死刑制度に関して,国内ばかりか国際社会の注目が集まっている現在,日弁連は,いわゆる「死刑廃止条約」に賛成するのか反対するのか,あるいは再開された死刑執行に対してどのように対処するのかなどについて,弁護士会としての態度表明を迫られている。
 日弁連は,1953(昭和28)年7 月,「死刑廃止の立法措置の可否」について,全会員の意見を弁護士会ごとに調査し,その集計結果に基づき,1954(昭和29)
年4 月,「我が国の現状においては,死刑制度は存置すべきである」との意見書を理事会で承認し,法務大臣に提出した。その後,日弁連は,1974(昭和49)年
3 月の「『改正刑法草案』に対する意見書」と1993(平成5 )年2 月の「現行刑法現代用語化・日弁連試案」において,政治犯と結果的加重犯につき死刑を削除し,殺人罪と強盗殺人罪だけに死刑を存続させる試案を公表した。殺人罪・強盗殺人罪に対する死刑をも速やかに廃止することが,今日における死刑廃止論であるとすれば,日弁連は依然として死刑存置論の立場をとっていることになる。
 しかし,日弁連は,先述の4 つの死刑再審無罪の確定といわゆる「死刑廃止条約」の発効を受けて,1990(平成2)年9月に開催された第33回人権擁護大会で死刑問題の調査検討を行うことを表明し,その後,わが国で事実上,死刑執行が停止されていた1991(平成3)年2月,人権擁護委員会内に死刑問題調査研究委員会を設置して死刑問題について調査研究を開始した。そして,死刑執行が再開された1993(平成5 )年に「死刑問題に関する連絡協議会」を設置して死刑制度の存廃問題について検討を開始し,1994(平成6)年には提言策定を目的とする「死刑制度問題対策連絡協議会」(以下,「対策連絡協議会」という。)を設置した。
 1994(平成6 )年2 月,東弁が実施したアンケート調査によれば,これまでの弁護士を対象とするアンケート調査で初めて条件付廃止を含め死刑廃止論が過半数を越え,無条件存置の現状維持派が12.5%であるのに対して,無条件廃止も含め現状の改革が必要との意見が80.9%と圧倒的多数を占めた3)。
 1994(平成6)年9月,関弁連は,「死刑問題に関する決議」をなし,「今こそ,死刑問題に関する全国民的な論議を展開すべきである」とし,「そうした論議をより深めて実りあるものとするため,法務大臣に対し,死刑の執行を当面差し控えるべきこと」などを要望した。そして,1995(平成7)年9月の定期総会において,シンポジウム「死刑を考える」を開催し,海外視察の結果等に基づいた報告を受けて,「政府及び国会は,死刑に関する情報を積極的に国民に提供した上で,死刑制度のあり方について,速やかに検討し,その間死刑執行は停止すべきである」との宣言を採択した。
 1995(平成7 )年8 月21日,日弁連の対策連絡協議会は,中間答申書をとりまとめ,各単位弁護士会で各検討課題について討議することとした。
 1996(平成8 )年3 月18日,対策連絡協議会は,死刑廃止並びに仮釈放を認めない「終身懲役刑」,仮釈放の制限刑期を20年とする「重無期懲役刑」の新設及
び犯罪被害者・遺族に対する手当という具体的な提言試案を日弁連執行部に提出したが関連委員会の全体としての賛同を得られず,事実上一般会員に公表できず
に終わった。
 1997(平成9)年11月19日,日弁連は,内閣総理大臣及び法務大臣に対して,死刑の存廃問題に関していずれの立場に与するものではないが,わが国の死刑執行は,①「国際人権(自由権)規約」,②「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する国連経済社会理事会決議」,③「死刑に直面している者の権利の保護の保障の履行に関する国連総会決議」などの国際規約に違反しているので,その違反状態をなくす立法の整備や死刑情報の公開を図るなど死刑に直面する者の権利の保障のための対策が講じられるまでの間は,死刑の執行を差し控えるべきである旨,要望した。
 2001(平成13)年10月18日,対策連絡協議会は,死刑制度に関する諸問題に対する取り組みの推進と死刑執行停止法の制定の提唱を内容とする「死刑制度問題に関する提言」を会長に提出し,理事会に報告するとともに,死刑制度問題についての会内論議の活性化のための討議資料として「自由と正義」2002(平成14)年3月号に掲載した。
 2002(平成14)年11月22日,日弁連は,理事会決議を経て,日弁連として初めて,以下のような死刑制度問題に関する提言を発表した。
(死刑制度問題に関する提言)
1 日本弁護士連合会は,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし,また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間,死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱する。
2 日本弁護士連合会は,死刑制度に関して,下記の取り組みを推進する。
(1)死刑に関する刑事司法制度の改善
(2)死刑存廃論議についての会内論議の活性化と国民的論議の提起
(3)死刑に関する情報開示の実現
(4)死刑に代わる最高刑についての提言
(5)犯罪被害者・遺族に対する支援・被害回復・権利の確立等

 2003(平成15)年1月,日弁連は,上記提言を受けて,死刑制度問題に関する提言実行委員会を設置し,2003(平成15)年5月4日,シンポジウム「死刑廃止を推進する議員連盟の『死刑執行停止法案』を考える」を開催し,同議員連盟が国会に提出予定の「①衆参両院に死刑の存廃に関する臨時調査会(臨調)を設け,3 年間の期限付きで議論する,②臨調の結論が出た後の1 年間を加えた4 年間死刑執行を停止する,③死刑と無期刑の中間的な刑として仮出獄がない『重無期刑』を創設する」との内容の法案を検討した。
 2003(平成15)年11月27日の第47回人権擁護大会準備委員会において,同大会シンポジウム第3分科会に死刑問題を取り上げることが決定され,2004(平成16)年1月に活動を開始した同実行委員会は,委員38名,幹事9名,バックアップ委員8名,助言学者1名という充実した組織となった。
そして,同実行委員会は,全国9か所(埼玉,名古屋,東京,大阪,仙台,愛媛,札幌,広島,福岡)で日弁連及び地元弁護士会・弁護士会連合会との共催により,連続してプレシンポジウムを開催した。各回とも,各地元弁護士会・弁連に大きく依拠して,「徹底討論・死刑の存廃」,「犯罪被害者と死刑制度」,「揺れるアメリカの死刑制度」,「死刑と向き合う人々」,「死刑制度を考える」,「知られざる死刑制度の欠陥」,「死刑の現在を語ろう」,「死刑の執行停止を考える」,「アジアにおける死刑」とテーマを変えて行われたが,宮崎における本シンポジウム「21世紀日本に死刑は必要か」―死刑執行停止法の制定と死刑制度の未来をめぐって―に全国の会員の関心を集めることができたとともに,日弁連内外に死刑問題に関する全国的な議論の場を提供することができた。
 2004年10月8 日前日の本シンポジウムを受けて,人権擁護大会では,下記の内容を含む「死刑執行停止法の制定,死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」を賛成多数で採択した。
                  記
 日弁連は,日本政府及び国会に対し,以下の施策を実行することを求める。
1 死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)を制定すること。
2 死刑執行の基準,手続,方法など死刑制度に関する情報を広く公開すること。
3 死刑制度の問題点の改善と死刑制度の存廃について国民的な議論を行うため,検討機関として,衆参両院に死刑問題に関する調査会を設置すること。

 日弁連は,国会議員,マスコミ,市民各層に働きかけ,死刑制度の存廃について広範な議論を行うことを提起する。また,日弁連は,過去の死刑確定事件についての実証的な検証を行い,死刑に直面している者が,手続のあらゆる段階において弁護士の適切にして十分な援助を受けることができるよう,死刑に直面する者の刑事弁護実務のあり方についての検討に直ちに取り組む決意である。
 2004(平成16)年11月,以上の第47回人権擁護大会における決議を受けて,従来の「死刑制度問題に関する提言実行委員会」を改組・拡大し,前記提言及び決議の実現のため,新たな態勢を構築して,死刑執行停止法の制定に向け,取り組みを強めるため,「日弁連死刑執行停止法制定等提言・決議実現委員会」(略称:死刑執行停止法実現委員会)が設立された。なお,人権擁護委員会死刑制度問題に関する調査研究委員会(1991〔平成3〕年設置)は,死刑制度問題に関する提言実行委員会発足後,事実上休眠状態にあったが,死刑問題に関する日弁連の取り組みが軌道に乗ったのをうけて,2005(平成17)年4月,人権擁護委員会の決定をもって廃止された。
 死刑執行停止法実現委員会は,現在,以下のような活動を行っている。
① 死刑事件弁護経験交流会の開催(現在,7回)
 死刑執行停止法実現委員会は,「死刑に直面している者が,手続のあらゆる段階において弁護士の適切にして十分な援助を受けることができるよう,死刑に直面する者の刑事弁護実務のあり方についての検討に直ちに取り組む決意」(前記決議)の具体化の一環として,全国の死刑事件を担当している弁護士に呼びかけ,
 2005(平成17)年5月12日,第1 回死刑事件弁護経験交流会を開催し,全国から約100人の弁護士が参加した。日弁連としては初めての試みである。龍谷大学の福島至教授から,「誤判防止のための制度設計について―イギリス刑事事件再審委員会(CCRC)の現状と課題」の報告があり,村上満宏弁護士から,「死刑と無期の量刑基準について」と題し,日弁連の実証的な研究成果の報告があった。また日弁連人権擁護委員会の小池義夫名張事件委員長から,「名張事件再審開始決定の意義」について特別報告があった。この他精神鑑定や訴訟能力が問題となった事例,死刑冤罪事件の事例,無期で仮出獄中の強盗殺人事件の事例の報告があり,今後も経験交流会を開催し,死刑事件弁護の情報を共有していくこととなった。
 2006(平成18)年5月11日,第2 回交流会を52名の参加を得て開催した。今回は,マスコミ等で有名となった4 件の事例報告(木曽川・長良川殺人事件,奈良女児誘拐殺人事件,秋田保険金殺人事件,山口県光市殺人事件)がなされた。その中で,長く家裁調査官を務められた加藤幸雄教授(日本福祉大学)は,木曽川・長良川殺人事件など死刑求刑事件で,犯罪心理鑑定を実施した経験を報告した。また,佐々木光明教授(神戸学院大学)は,少年と死刑の問題を国際的視野の中で位置づけ,処遇・量刑の個別化,死刑事件弁護における徹底した手続保障とそれを通じた「生命」への問いかけを強調した。
 2007(平成19)年3月13日,第3 回交流会を70名の参加を得て開催した。今回は,オクラホマシティ連邦ビル爆破事件の弁護人をつとめたミズーリ・コロンビア大学ロースクールのロドニー・アプホフ氏が「アメリカにおける死刑事件弁護」と題する特別講演の後,コーディネーター安田好弘弁護士のもとパネラーにアプホフ氏に村岡啓一(一橋大学)及び喜多村洋一弁護士が加わり,「日米における死刑事件弁護」について,パネルディスカッションが行われた。
 2008(平成20)年7月19日,第4回交流会を70名以上の参加を得て開催した。今回は,「光市母子殺害事件差し戻し控訴審の弁護活動を検証する」と題して,弁護団が徹底した事実解明のために各種鑑定を獲得し,事実誤認と情状の立証しようとしたことが報道に呼応して弁護団に対するバッシングや業務妨害等招いてしまった上に死刑判決になってしまった点について,弁護団の報告の後に,森下弘会員,守屋克彦教授(東北学院大学)及び友井秀和(NHK解説委員)の助言を得るとともに,参加した会員の活発な意見も出て行われた。
 2009(平成21)年3月14日,第5回交流会を47名以上の参加を得て開催した。今回は,「被虐待経験のある被告人のための情状弁護・死刑求刑で無期懲役を獲得した静岡事件に学ぶ」と題して,主任弁護人であった小川秀世弁護士の詳細な事例報告と弁護団が「①被告人の身体歴,家族歴とくに幼児期からの実親による虐待は,被告人の人格形成,規範意識形成に影響を与えたか,与えたとすればどのような影響か,②被告人の犯行当時の精神,心理状態はどのようなものであったか,実親からの虐待がそれに影響を与えたか,与えたとすればどのような影響か,③本件犯行の原因となった被告人の人格,規範意識の問題点を矯正することは可能か,そのために精神医学的,心理学的に有効な方法があるか」との鑑定事項で情状鑑定請求をした際に,2通の専門家意見書を作成した西澤哲教授(山梨県立大学)の幼児期に虐待等のトラウマを経験した場合にそれが犯罪行為にどのように影響するかという点に関する詳細な助言を得るとともに,参加した会員の活発な意見も出て行われた。
 2009(平成21)年9月26日,第6回交流会を47名以上の参加を得て開催した。今回は,「DNA鑑定,情況証拠とどのように闘うか-飯塚事件に学ぶ-」と題して,主任弁護人であった岩田務弁護士の足利事件と同様のDNA鑑定が情況証拠の一つとなって死刑判決が組み立てられている点についての詳細な事例報告がなされた。その後,村井敏邦教授(龍谷大学矯正・保護研究センター長)の証拠が全量消費されて再試可能性のない鑑定書の証拠能力は認めないルールを取り入れるべきなどの助言を得るとともに,参加した会員の活発な意見も出て行われた。
 2010(平成22)年3月12日,第7回交流会を43名以上の参加を得て開催した。今回は,「マスコミ報道にさらされた,健忘状態の被告人をどう弁護するか-いわゆる秋田連続殺害事件に学ぶ-」と題して,第1審の主任弁護人であった池上有朋弁護士の弁護士過疎地域における刑事弁護の難しさとマスコミ対応の苦労などについての詳細な事例報告がなされた。続いて,控訴審の弁護人であった佐藤隆太弁護士の健忘,虐待でないこと,人格,反省等の立証についての詳細な事例報告がなされた。その後,中島直医師(精神科・私的鑑定人)被告人の健忘の主張は認められない点や被告人の場当たり的な言動からすると動機が納得できない点などの詳細な報告を得るとともに,参加した会員の活発な質問や意見も出て行われた。
② ライブ研修の実施(現在,2回)
 2006(平成18)年3月15日,「裁判員制度化における死刑事件弁護―効果的弁護を探る―」と題して,日弁連特別研修会を実施した。今回は,身代金目的で女子大生を誘拐し殺害したという,死刑と無期の限界事例を想定し,市民が参加する裁判員裁判において,効果的な弁護とはどういうものかをありがちな弁護人とあるべき弁護人の二組を対比して有益な研修を行った。
 2008(平成20)年11月19日,『「死刑事件と犯罪心理鑑定」裁判員制度下における死刑事件弁護~効果的な弁護を探る 第2弾~』と題して,第2回目の日弁連特別研修会を実施した。今回は,少年死刑事件を題材に犯罪心理鑑定に焦点を当てて,裁判員に,被告人の人格や犯行時の心理的側面を理解してもらえる効果的弁護を探る有益な研修を行った。
③ 日弁連死刑執行停止法案の作成
 死刑執行停止法の制定を目指す日弁連の提言の具体化として,日弁連としての死刑執行停止法案の策定に取り組み,2005(平成17)年5 月,委員会としての第1 次案をとりまとめ,同月28日,死刑執行停止に関する東京公聴会で公表した。委員会第1 次案は,「死刑制度の持つ客観的問題点並びに日本における死刑の制度上及び運用上の問題点に鑑み,その存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うため,一定期間死刑確定者に対する執行を停止するとともに,その間に政府及び国会が取り組む課題等を定め,もって刑事司法制度の改善及び基本的人権の増進を図ることを目的とする」もので(第1 条),衆議院及び参議院に死刑制度調査会を設置し,「世界における死刑制度の動向,死刑の犯罪抑止力効果及び死刑執行停止期間中の犯罪情勢の推移,死刑に代わる最高刑の在り方,殺人等の犯罪被害者の遺族に対する支援並びにその被害回復及び権利確立のための対策,死刑事件に関する誤判防止のための刑事司法制度の在り方,死刑に直面する者に対する権利保障及び死刑確定者の処遇」について調査し(第2 条),「政府は,国会における死刑制度に関する調査に資するため,死刑に関する情報を公開しなければならない。」(第7 条),法律の施行の日から立法措置が講ぜられるまでの間,「法務大臣は死刑の執行を命令してはならない。」(第8条)と定めている。また,死刑制度調査会の設置期間は5年間とされている。
 2006(平成18)年3月,弁護士会内でも死刑執行停止をめぐって議論し,取り組みを活性化する必要があるとの認識から,各弁護士会に対し委員会第1 次案について意見照会を行った。そして,これまでの公聴会の活動と各弁護士会から寄せられた意見書を踏まえ,同年10月,委員会第1 次案の見直し行い,委員会第2次案を作成し,正副会長会の承認を得て公表して,これについても公聴会を重ねる等議論を重ねた。
 ところで,前記「提言」の趣旨において,「犯罪被害者・遺族に対する支援・被害回復・権利の確立等」を掲げ,死刑執行停止法案(委員会第1 次案)においては,各議院の死刑制度調査会における調査事項として「殺人等の犯罪被害者遺族に対する支援並びにその被害回復及び権利確立のために対策」を掲げていたが,死刑執行停止法の制定と犯罪被害者支援の問題に関して,多くの意見が寄せられた。
 中でも,死刑執行停止法の制定と犯罪被害者の支援とは,それぞれ独立の課題であり,犯罪被害者の支援が進んでいないから死刑執行停止は時期尚早であるとか,逆に犯罪被害者の支援が進んでいるから死刑執行停止を実現するべきであるとか,両者を関連づけて論じることは,いずれも適切な議論ではない。特に基本的人権の擁護を使命とする弁護士会にあっては,両者は,いずれも並行して強力に追求されるべき課題であって,被害者遺族への支援活動の充実を死刑廃止ないし死刑執行停止のための手段として利用するようなことがあってはならないばかりか,現在の死刑制度の問題点について何ら具体的な検討を加えることもしないまま,被害者遺族への支援活動の不十分さを死刑制度存置のための手段として利用するようなこともあってはならないとして,いずれも適切な議論ではない旨の意見が多く寄せられた。
 また,「提言」が犯罪被害者支援の推進を課題として掲げていることに対し,犯罪被害者支援と死刑執行停止のための手段としているとの見解があった。
 そこで,死刑執行停止法案(委員会第2 次案)においては,第2 条(死刑制度調査会の設置)から,犯罪被害者支援に関する項目を削除した。この削除によって,日弁連が犯罪被害者支援の課題を軽視するものでは決してなく,基本的人権擁護の観点から,犯罪被害者支援の問題にも,死刑の問題にも,引き続き重要な課題として取り組んでいくものであることは言うまでもない。
 以上の死刑執行停止法案(委員会第2 次案)につき,2006(平成18)年12月,再度各単位弁護士会及び日弁連関連委員会に意見照会をした。その意見照会の結果は,一部単位弁護士会乃至単位弁護士会委員会の反対はあるものの概ね賛意が示された。
 2008(平成20)年3月13日,日弁連は理事会において,死刑執行停止法案(委員会第2 次案)を日弁連案とすることを全会一致で承認した。
④ 「死刑執行停止に関する全国公聴会」の開催(現在,6 回)
 日弁連死刑執行停止法案(委員会第1 次案)ほか日弁連の死刑執行停止法制定に向けた取り組みについて報告するとともに,死刑制度の問題について広範な議論を行うため,「死刑執行停止に関する全国公聴会」の開催を企画している。
 その第1 弾として,2005(平成17)年5 月28日,東京公聴会「共に『いのち』を考える―死刑執行停止法の制定に向けて―」と題し,「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの協力を得て開催した。その内容は,映画「デッドマン・ウォーキング」上映,特別報告「名張事件再審開始決定と死刑執行停止」(報告者:鈴木泉名張事件弁護団長),基調講演「アメリカにおける死刑執行停止運動」(講師:シスター・ヘレン・プレジャン),特別発言「死刑執行停止~ヨーロッパからのメッセージ」(発言者:アゴスチーノ・ジョバニョーリ氏(聖エジディオ共同体アジア部長))と極めて盛りだくさんで,「公聴会~死刑執行停止・私の意見」では,土井たか子氏(元衆議院議長),高橋哲哉氏(東京大学大学院教授(哲学者)),雨森慶為氏(「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク世話人,真宗大谷派),土本武司氏(白鴎大学法科大学院教授,元最高検検事),山花郁夫氏(衆議院議員)からのご発言を受けた。
 第2 弾として,2005(平成17)年9 月3 日,岡山公聴会「冤罪事件と死刑執行停止を考える」と題し,「未だ最高裁がある」と叫んで無罪を勝ち取った元八海事件冤罪被告人阿藤周平さん,30年以上も死刑確定囚として過ごし,何人もの死刑確定囚の死刑執行を見送って死の恐怖を体験したのち,再審無罪を勝ち取った免田栄さん,名張事件再審開始決定を勝ち取った鈴木泉弁護団長,北方事件第一審無罪判決を勝ち取った池田晃太郎弁護士,奥さんを植物人間にされてしまい犯人が捕まっていない全国犯罪被害者の会「あすの会」幹事の林良平氏らの発言を受けた。そこでは,冤罪で死刑になる可能性がある限り,取り返しのつかない死刑は認めるべきではないとの意見や,被害者の報復感情を考えるならば,死刑制度を残すべきだとの意見が出されて,議論された。
 第3 弾として,2006(平成18)年2 月4 日,横浜公聴会「被害者支援と死刑問題」と題し,被害者家族や元検察官である弁護士に公述人として話を伺い,ドイツの「白い環」ヘッセン州代表であるホルスト・チェルニー氏を講師に招いて,ドイツにおける被害者支援,特に殺人事件の被害者遺族に対する支援のあり方について,その体験に基づく具体的な話を聞いた。
 第4 弾として,2006(平成18)年10月14日,大阪公聴会「いま一度,考える~あなたが裁判員になる前に~」と題し,作家の高村薫氏が講演を行い,元法務大臣で在任中に死刑の執行を拒んだ佐藤恵議員や元刑務官の経歴を持つ野口善国弁護士らが参加してパネルディスカッションが行われた。
 第5 弾として,2007(平成19)年7 月14日,金沢公聴会「死刑執行停止と犯罪被害者の刑事手続参加―裁判員裁判との関係で―」と題し,日弁連犯罪被害者支援委員会副委員長・番敦子弁護士から「犯罪被害者支援の必要性」について,斉藤豊治教授(大阪経済大学)から「犯罪被害者参加制度の背景と各国における実施状況」について,それぞれ報告を受け,その後,「被害者と司法を考える会」代表・片山有徒氏も参加してパネルディスカッションが行われた。
 第6弾として,2007(平成19)年12月15日,クレオにおいて「-名張事件に見る死刑冤罪-あなたが裁判員なら,死刑ですか?無罪ですか?」と題し,稲垣仁史弁護士から「名張事件弁護団報告」がなされ,その後,ジャーナリストの大谷昭宏氏及び江川紹子氏,名張事件弁護団長の鈴木泉弁護士が参加してパネルディスカッションが行われた。
⑤ 「死刑情報開示請求訴訟」の支援
 日本の死刑制度は密行主義であり,死刑制度の存廃を議論するには,市民に死刑制度の運用実態を知らせる必要があることから東京と大阪で,当委員会の委員である弁護士により死刑に関する情報開示請求が行われ,①死刑場に関する図面及び,②死刑執行に関する手続書をいずれも不開示とした決定は違法であるとして,国に決定取り消しを求める訴訟を提起し(弁護団長は本林徹前日弁連会長),当委員会としても,本件訴訟を支援しているが,いずれも第1審の東京地裁及び第2審の東京高裁で敗訴したため,現在,最高裁判所に上告中である。
⑥ イノセンス・プロジェクト
 アメリカでは,全米各地で弁護士・研究者・ロースクールの学生が共同してイノセンス・プロジェクト(事件の再調査による冤罪の救済運動)を進めており,当委員会も,過去の死刑事件について,判決文の謄写を行い,事件の再調査の準備を進めている。
⑦ 終身刑の導入についての議論
 近時,死刑判決の言渡し数が異常に増加し,死刑の執行数も急増しており,2009(平成21)年5月21日から実施される裁判員制度においては,死刑と現行無期(仮   釈放の許されない期間10年)しか選択肢のないなかで,一般市民から選ばれる裁判員はその極めて大きなギャップを前に量刑判断に迷い,裁判員制度の運用において多大な混乱を招くおそれがある。
 そこで,国会内の「量刑制度を考える超党派の会」は,死刑制度が存続し死刑執行停止法の制定が実現しない現状であっても,現在のわが国の量刑制度における死刑と無期刑のギャップを埋めるために,死刑と無期刑の中間に仮釈放のない終身刑を創設する必要があるとして,2008(平成20)年秋の国会に「終身刑の創設のための刑法等の一部を改正する法律案」(仮称)を提出しようとしている。これに対して,日弁連は「量刑制度の関する検討ワーキンググループ」を設置して意見の集約し,「様々な専門家等を招くなどしてさらに調査検討し、各単位会に意見を求めるなどして広く会員の意見を聞くべきであり、日弁連としては、終身刑導入について、賛成・反対のいずれかの立場を現時点で取るべきではない。」との死刑執行停止法実現委員会の意見にもかかわらず,2008(平成20)年11月18日,理事会において,「無期刑受刑者を含めた仮釈放のあり方を見直し無期刑の事実上の終身刑化をなくし,かつ死刑の存廃について検討することなしに,刑罰として新たに終身刑を創設すること(量刑議連の「刑法等の一部を改正する法律案」)には反対する」との意見書を賛成多数で可決した。なお,保岡興治法相は,「終身刑は一生獄中につなぐ残酷な刑で賛成できない」と終身刑の導入に反対し,2008(平成20)年8月22日,無期刑受刑者の仮釈放の基準を明確化するため,法務省内に勉強会をつくることを明らかにした。
 現在,わが国では仮釈放がなかなか認められず無期刑が終身刑化する傾向にある。
⑧ 海外調査
 2005(平成17)年8 月22日から27日まで海外調査団を組織して,訪問先のドイツにおいて,ギーセン大学におけるコロキウム(討論),被害者援助団体「白い環」の調査,ヘッセン州刑務所の見学,イギリスにおいて,刑事再審委員会(CCRC),ウェストミンスター大学法科大学院死刑研究センター(CCPS),ヴィクティムサポートなどの調査が行われた。
⑨ 国際会議の開催
 2005(平成17)年12月6 日,7 日の2 日間にわたり,欧州委員会(EC),アメリカ法曹協会(ABA),日弁連の共催,駐日英国大使館の後援で,「人権と死刑に関する国際リーダーシップ会議」と題する国際セミナーが開催された。そこで,世界19ヵ国から集まった法律家,研究者,市民ら延べ約300人が参加し,死刑をめぐる世界の状況,国際人権法からみた死刑の位置づけ,死刑を廃止または停止している国における死刑に代わる刑罰の運用,死刑と誤判の問題,犯罪被害者と死刑の問題,死刑問題に関する弁護士の役割など,多角的に死刑の問題を議論した。
 
 
⑩ パリ弁護士会との連携
 2010(平成22)年3月25日,東京3会と共催で,パリ弁護士会と「死刑制度と弁護士会の役割~パリ弁護士会の活動から何を学ぶか~」と題するシンポジウムを開催した。法律家,研究者,政治家,外国大使,報道機関,市民ら86人が参加し,ジャン-イヴ・ボルニュ パリ弁護士会副会長からフランスが死刑を廃止した経緯,その際の世論の動向と弁護士ないし弁護士会の対応,死刑廃止の理由などについて詳細な基調講演を受けた後,死刑と世論,死刑と誤判の問題,犯罪被害者と死刑の問題,死刑問題に関する弁護士ないし弁護士会の役割など,多角的な議論をした。その結果,日弁連とパリ弁護士会は,今後,わが国の死刑廃止問題につき連携を図ることを確認した。

⑪ 死刑執行停止要請
 2007(平成19)年6 月21日,日弁連は,長勢法務大臣に対し,死刑確定者102名(2007年5 月31日現在)に対し,死刑を執行されないよう要請書を提出した。
⑫ 「死刑を考える日」の開催
 2008年(平成20年)10月16日,クレオにおいて,「死刑を考える日」を開催したところ,会員のみならず市民・研究者等327名の参加者を得るばかりか,参加者のアンケートでは制度を考え直すよいきっかけになったとの声が多数寄せられるなど,大成功を収めた。当日は,保坂展人衆議院議員による刑場視察報告などを内容とする講演の後,死刑執行に立ち会う刑務官の生活をえがいた映画「休暇」を上映し,その後,岩井信委員から日弁連の死刑問題に関する取組についての説明を行った。
 そこで,日弁連は,「死刑を考える日」を全国の単位弁護士会においても実施するよう提案し,我が国の死刑制度を具体的に考えるには最も適した映画の一つとして好評であった上記映画「休暇」のDVD上映について,2009年(平成21年)1月30日付けで案内を送付した。死刑執行停止法実現委員会では,「死刑を考える日」の全国版の実施に際して,配付資料を提供するほか,要請がある場合には,委員を講師として講演等を行い,映画では描かれていない死刑の実態についても情報を提供するなどして,市民に我が国の死刑制度に対する理解を深めてもらうことを願っている。その結果,現在までのところ,新潟県・大阪・愛知県・広島・仙台・香川県・長崎県・岡山・和歌山県・長野県(以上まで「休暇」の上映・横浜(「真昼の暗黒」の上映)と11単位会が「死刑を考える日」を開催している。
 日弁連でも昨年に引き続き,2009年(平成21年)10月9日,クレオにおいて,「死刑を考える日」を開催したところ,会員のみならず市民・研究者・マスコミ等120名の参加者を得て,昨年と同様に大成功を収めた。当日は,裁判員裁判と死刑を描いたフジテレビドラマ「サマヨイザクラ」を上映し,その後,委員による死刑執行停止法の制定に向けた日弁連の活動の説明とパネリストとしてお招きした原作者の漫画家郷田マモラ氏及び参議院法務委員会の参考人として裁判員制度について陳述した共同通信編集委員竹田昌弘氏を交えたパネルディスカッションを行った。今回は,山梨県・岐阜県・長崎県・宮崎県・仙台・旭川・京都の7単位会にテレビ中継し,その上,TBSテレビとNHK首都圏センターからの取材を受けた(放送は未定)。

8 )今後の取組み
 今後,日弁連としては,更に,上記第47回人権擁護大会決議を前提とした,以下のような具体的な取り組みをすべきである。
(1)死刑執行停止法の制定に向けた取り組み
(2)死刑に関する刑事司法制度の改善に向けた取り組み
(3)死刑存廃論議についての会内論議の活性化と国民的論議の提起
(4)死刑に関する情報開示の実現に向けた取り組み
(5)死刑に代わる最高刑についての提言の策定
(6)過去の死刑確定事件についての実証的な検証
(7)死刑に直面する者の刑事弁護実務のあり方についての検討

 おわりに
基本的人権の擁護を使命とする弁護士ないし弁護士会は,基本的人権の中で一番尊重されるべき『生命権』及び『個人の尊厳』を保障するため,死刑制度の存廃問題を重要な課題として受けとめ,早急に検討を深め,国民に対して,死刑執行停止法案,死刑制度廃止法案並びに死刑制度改革法案を含めた的確な判断材料を提供していくべきである。そして,政府及び国会に対して,一定の期間,死刑の執行を停止し,その間,国会内に死刑制度調査会を設置して死刑制度の在り方を全面的に見直すことを内容とする死刑執行停止法の制定を,また,法務大臣に対して,①死刑制度の運用状況に関する情報の公開,②死刑廃止条約の批准の是非を含む死刑制度の存廃問題について国会をはじめ国民の間で議論の深化を図るための施策,③それまでの間,死刑の執行を差し控えるべきことなどを,それぞれ強く求めていくべきである。
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<*1 1993(平成5)年3月26日に3名,同年11月26日に4名,1994(平成6)年12月1日に2名,1995(平成7)年5月26日に3名,同年12月21日に3名,1996(平成8)年7月11日に3名,同年12月20日に3名,1997(平成9)年8月1日に4名,1998(平成10)年6月25日に3名,同年11月19日に3名,1999(平成11)年9月10日に3名,同年12月17日に2名,2000(平成12)年11月30日に3名,2001(平成13)年12月27日に2名,2002(平成14)年9月18日に2名,2003(平成15)年9月12日に1名,2004(平成16)年9月14日に2名,2005(平成17)年9月16日に1名,2006(平成18)年12月25日に4名,2007(平成19)年4月27日に3名,同年8月23日に3名,同年12月7日に3名,2008(平成20)年2月1日に3名,同年4月10日に4名,同年6月17日に3名,同年9月11日に3名,同年10月28日に2名,2009(平成21)年1月29日に4名,同年7月28日に3名の合計82名。>
<*2 何らかの形で見直しを求める意見の内訳は,「無条件死刑廃止」40人(8.4%),「仮釈放を認めない終身刑などを創設して死刑は廃止する」93人(19.6%),「執行を停止し議論を深める」91人(19.2%)>
<*3 回答者総数が1264名(回答総数は重複回答を含め1329件),回収率が37.33%と高率のところ,無条件廃止245名(18.4%),条件付廃止567名 (42.7%)であって,死刑廃止論が812名(61.1%)であるのに対し,条件付存置263名(19.8%),無条件存置167名(12.5%)であって,死刑存置論は,430名 (32.3%)であった。>


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