死刑廃止議連「死刑制度に関する世論調査意見交換会」を傍聴して考えたこと

2012年05月17日


本日、参議院議員会館2階の議員第2会議室で、死刑廃止議連主催の「死刑制度に関する世論調査意見交換会」があり、私もオブザーバーとして参加しました。法務省刑事局 刑事法制管理官上富敏伸氏の意見を聞きながら、考えたことを忘れる前に述べておきたいと思います。ご意見があればよろしくお願いします。

1 まず前提として、平成21年の内閣府の世論調査については、下記のように解説されています。
「死刑制度についての意識調査」
「死刑制度の存廃
 死刑制度に関して,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」,「場合によっては死刑もやむを得ない」という意見があるが,どちらの意見に賛成か聞いたところ,「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者の割合が5.7%l,「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が85.6%となっている。」
 この調査は「意識調査」なのであり、しかも死刑制度に関して、二つの意見があるが、どちらの意見に賛成かという聞き方になっています。端的に回答者が死刑に賛成か反対かを聞くのではなく、二つの意見のどちらの意見に賛成かを聞く形式になっているわけです。

2 上富氏の説明では、平成1年の世論調査は、「いまの日本でどんな場合でも死刑を廃止しようと言う意見にあなたは賛成ですか,反対ですか。」だったが、一方の意見(死刑を廃止しようという意見のことか?)についてのみ質問するのはおかしいとのことで、両方の意見(死刑を廃止しようという意見と死刑を存置しようという意見のことか?)の双方について質問をしようということになったそうです。
だとすれば、二つの意見をどう表記するのかが極めて重要なポイントとなるはずです。

3 上富氏は、上記を考慮し、二つの意見についての質問とすることとして、
①制度としての死刑をどのような場合でも廃止するかどうかを聞くのだから
「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」という意見に賛成するかどうかと、
②一定の場合には死刑を残すのかを聞くのだから、
「場合によっては死刑もやむを得ない」という意見に賛成するのかどうか
について聞くのが「論理的」であるとの説明でした(どうして「論理的」なのかはよく分かりませんが?)。

4 しかし山花議員も指摘していましたが、例えば内乱罪についての死刑廃止とか戦時における死刑廃止についてまで考えなければ、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」という意見にはならないはずです。代替刑がなければ死刑を廃止できない(代替刑があれば死刑廃止)という意見の人も、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」という意見には賛成できないこととなります。
ですから、「制度としての死刑」について二つの意見を表記するとすれば、①では、通常犯罪については廃止、代替刑があれば廃止という意見がもれてしまうわけで、「死刑廃止派」の意見の表記としては適当ではないことになります。「制度としての死刑」を「どんな場合」でも廃止するか否かが問題ではなく、さまざまな条件によって「制度としての死刑」を廃止する意見が、世論(意識)としてどの程度存在しているのかを調査することが立法に役立つと思われます。②についも同様の問題があると思います。

5 その意味では、福島議員が述べていたように(正確な紹介ではありませんが)、
まず端的に、「制度としての死刑」に賛成か反対か(わからないか)を質問し、
賛成の人には、どのような「条件」で(あるいは無条件で)賛成かを問い、
反対の人には、どのような「条件」で(あるいは無条件で)反対かを問う
方が、日本における制度としての死刑を今後どうしていくのか(立法の問題)について
の参考として、世論(意識)を調査する意味があるかなと思いました(それでも世論調査の結果で死刑の存廃を決めるべきだとは勿論思いませんが、執行する政府の側が死刑存置の論拠として世論調査を用いる以上、平成21年と同様の世論調査を今後させないことが重要な戦略的?課題だと思います)。

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