日弁連「死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書」を公表

2013年12月17日

日弁連「死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書」を公表

 これまで政府は,世論調査において、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」、「場合によっては死刑もやむを得ない」という主質問をし、その回答結果から,「国民の8割以上が死刑制度を支持している。」などと評価し,死刑廃止が国際的な潮流であるにもかかわらず,我が国において死刑制度を存続することの根拠としてきました。報道機関も,そのような政府の評価をそのまま報道するので,国民の間においても「我が国の国民の8割以上が死刑制度を支持している。」ということが客観的な事実であるかのように受け止められています。 
 しかし日弁連が、社会調査の専門家に従来の政府の世論調査について分析を依頼したところ、政府の世論調査には多くの問題点があることが明らかとなりました。そこで日弁連は、政府の世論調査の内容が国民の死刑制度に関する意識をより正確に把握できるものとなり,その回答結果がより客観的に評価されるよう,「死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書」(2013年11月22日日弁連理事会承認)を12月11日、公表しました。
 これは世論調査の主質問を「死刑は廃止すべきである」、「どちらかと言えば,死刑は廃止すべきである」、「わからない・一概に言えない」、「どちらかと言えば,死刑は残すべきである」、「死刑は残すべきである」と改めるべきであることや、死刑の代替刑として終身刑(仮釈放のない無期懲役刑)を導入することが,死刑存廃の意見に影響を与えるかどうかを把握するための質問を加えるべきであること、プライバシーには配慮しつつ,個々の回答票等のマイクロデータを誰もが利用できるように積極的に公開していくべきであることなどを求めるものです。 
  日弁連は、内閣府及び法務省の世論調査担当者に面談し、この世論調査に対する意見書の趣旨について説明をしました。また来年、政府による世論調査の実施が予想されることから、今後も、国会議員や政府関係者に対する説明・説得を継続して行う予定です。


意見の趣旨 
1 当連合会は,死刑のない社会が望ましいことを見据え,死刑廃止についての全
社会的議論を呼びかけており,その一環として,死刑制度に関する政府の世論調
査について,社会調査の専門家から意見を聴取するなどして検討を重ねた結果,
本意見書をまとめたものである。 
2 質問内容について 
(1) 死刑制度に関する主質問「死刑制度に関して,このような意見がありますが,
あなたはどちらの意見に賛成ですか。」の回答選択肢を,以下の(旧)から(新)
に改めるべきである。 
(旧)① どんな場合でも死刑は廃止すべきである 
② 場合によっては死刑もやむを得ない 
③ わからない・一概に言えない 
(新)① 死刑は廃止すべきである 
② どちらかと言えば,死刑は廃止すべきである 
③ わからない・一概に言えない 
④ どちらかと言えば,死刑は残すべきである 
⑤ 死刑は残すべきである 
(2) 死刑制度に関する主質問の各回答のサブクエスチョンに,死刑の代替刑とし
て終身刑(仮釈放のない無期懲役刑)を導入することが,死刑存廃の意見に影
響を与えるかどうかを把握するための質問を加えるべきである。 
具体的には,死刑廃止反対者に対して,「死刑の代替刑として終身刑を導入
すれば,死刑を廃止してもよいと思いますか。」という趣旨の質問を加えるこ
となどが考えられる。 
3 世論調査の結果の評価について 
近時の世論調査の回答回収率が3分の2程度である上,性・年齢層・地域別の
回収率に大きな差異があり,回収標本は,母集団(全国の20歳以上の者)の縮
図とは言い難い。したがって,世論調査の結果を国民の意見として一般化すべき
ではない。 
また,世論調査の結果の評価に当たっては,主質問のみならず,サブクエスチ
ョンの回答内容をも総合的に分析する必要がある。したがって,2009年(平
成21年)に行われた政府の世論調査における,将来的にも死刑制度を支持する
回答者の割合は,サブクエスチョンで「状況が変われば,将来的には,死刑を廃
止してもよい」と考えている者を除外した約56%と評価すべきである。 
 4 マイクロデータの公開 
プライバシーには配慮しつつ,個々の回答票等のマイクロデータを誰もが利用
できるように積極的に公開していくべきである。 

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