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日本では死刑を望む声は多いの?
新聞で世論調査の結果を読んだけど、日本では8割もの人が死刑を望んでいるって本当?
たしかにそうだね。
でも世論調査の結果だけを信じ込んでしまうのは危険だよ。
どういう質問をするかで答えも大きく違ってくるしね。
うーんと。
質問でそんなに答えは変わっちゃうの?
例えば「無実の疑いのある人について、死刑が執行されるおそれのある制度でも良いと思いますか?」と質問すれば、 ほとんどの人が、そのような制度はダメと答えるんじゃないかな。

また「終身刑を導入しても絶対に死刑にするべきだと思いますか?」と質問すれば、どうしても死刑にしろという人は少なくなるかもしれないね。

でもね、世論調査の前に、国際社会は既に死刑廃止の潮流にあることや、 日本はすすんだ民主主義国家として死刑の廃止を求められていることなど、 死刑に関する情報を国民に十分提供しておくことも非常に重要なことなんだよ。
外国で死刑を廃止したとき、世論調査の結果はどうだったのかしら。
例えばフランスの場合、死刑を廃止した時点での世論調査では死刑を残すべきだという意見の人が62%もいたんだよ。

でも、変化しやすい一時的な世論に根拠を置くのではなく、死刑制度の残虐性を冷静に検討し、 政治家のリーダーシップのもとで、民主主義社会のあり方として、死刑を社会から取り除いていったんだ。
 政府の世論調査(「基本的法制度に関する世論調査」平成16年12月)の場合、
死刑制度に関して「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」「場合によっては死刑もやむを得ない」と質問して以下の結果を得ている。

「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」 - 6.0%
「場合によっては死刑もやむを得ない」 - 81.4%
「わからない・一概に言えない」 - 12.5%

 しかし、「無実の疑いのある人について死刑が執行されるおそれのある制度でも良いと思いますか」と質問すれば、 ほとんどの人が反対すると思います。

 また「終身刑を導入しても絶対に死刑にするべきだと思いますか」と質問すれば、未来永劫絶対死刑存置論者は比較的少ないと思います。
「死刑廃止が望ましい」という観点からの世論調査も、やろうと思えばできるはずです。

そのためには、世論調査の前に死刑に関する情報を市民に十分提供しておくことも非常に重要だと思います。
・国際社会は既に死刑廃止の潮流にあること
・日本はすすんだ民主主義国家として死刑の廃止を求められていること
・実際の日本国内の死刑の執行は絞首刑であり残虐な刑罰であること
・日本では確定した死刑判決について4件も再審で無罪判決が出ていること
など、正確な情報を提供しておく必要があります。

 しかしそれでも世論調査の結果は、死刑を存置する声の方が多いかもしれませんが、世論調査の結果は絶対ではありません。

 フランスは1981年にミッテラン大統領が死刑を廃止していますが、その時点での世論調査では死刑存置が62%を占めていました。
ミッテランは、大統領選挙の際のテレビ番組で、「良心において、良心に基づいて、わたしは死刑に反対します。」と明言して、 死刑存置派のジスカール・デスタンを破って大統領に当選し、フランスの著名な弁護士であるバタンデールを法務大臣に任命して、死刑廃止を実現しました。

 文化的歴史的な背景の異なる日本においても、死刑を存置し厳罰化を求める残虐な社会ではなく、被害者に対しては十分な補償をし、 加害者に対しても厳しく罪の償いを求めはするものの(場合によっては終身の服役もありえます)、 命までは奪わない寛容な社会を実現することは、民主主義社会の選択として、十分に可能な選択肢だと思います。